NPO法人東京自由大学 設立25周年企画

【宗教を考える学校 第2弾】

 

第1回「神話がつなぐ現代ー物語はなぜ語り続けられるのか

鎌田東二×島薗進

 

オウム真理教事件が起きた翌年の1996年、1年間にわたって月1回「宗教を考える学校」を開きました。その時の発題者は順番に、鎌田東二、柿坂神酒之祐(天河大辨財天社宮司)、島薗進(東京大学教授)、斎藤文一(新潟大学名誉教授)、荒木美智雄(筑波大学教授)、玉城康四郎(東京大学名誉教授)、深澤英隆(一橋大学助教授)、戸田日晨(日蓮宗大荒行堂遠壽院傳師・住職)、津村喬(関西気功協会代表)、梅原伸太郎(本山人間科学大学院講師・日本霊学研究センター所長)、中村桂子(生命誌研究館前館長・早稲田大学教授)、横尾龍彦(画家)の12人です。所属や肩書は当時のものですが、その内の半分の6人が故人となりました。

 

それから27年、ウクライナ戦争と東方キリスト教会や旧統一教会問題が大きな話題となった翌年の本年から3年がかりでもう一度「宗教を考える学校」を開きたいと思います。1996年の「宗教を考える学校」では、12人の発題者の提示する問題意識を通して、「超宗教への水路」を探る探究を試みました。この時、「宗教を超える」とは、宗教性の根底に降りてゆくことであり、そこで宗教性を支える霊性(スピリチュアリティ)の岩盤に向き合うことが課題として取り組まれました。

 

それ以後の世界と日本の動向を顧みると、一方で宗教の活性化が社会の分断を深めていく傾向が、他方では宗教離れの傾向がさらに進んでいく傾向が目立つように見えます。ある意味では「宗教を超える」必要がいっそう深まっていったように感じられるのですが、では、わたしたちはどのような意味で宗教を超えようとしたり、宗教を超えていく動向に抗ったりしようとしているのでしょうか。

 

「宗教を超える」ということでは、宗教への批判をさらに鋭いものにしたり、宗教にかわる霊性(スピリチュアリティ)に期待をかけるような傾向もあります。また、宗教の本来的なあり方を問い直したり、宗教・宗派の枠を超えるインターフェイスの領域への踏み出したりするような動向もあります。このようなさまざまな方向性を視野に入れながら、危機に直面する現代世界にとって、また行方を見失いがちな現代人にとっての宗教の意義を問うていきたいと思います。

 

今回は、27年前の企画者である鎌田東二と講師の一人であった島薗進がタッグを組んで、新たな講師陣を迎えて、現代の危機と宗教のありようを探っていきます。ぜひこの機会に参画して確認とシェアリングの協働作業に加わっていただきたくお願いする次第です。

 

収録日:2023年5月21日(日)


鎌田東二 Kamata Toji

宗教哲学・民俗学/京都大学名誉教授、天理大学客員教授。1951年徳島県阿南市桑野町生れ。國學院大學文学部哲学科卒業。同大学大学院博士課程単位取得中途退学。岡山大学大学院医歯学総合研究科社会環境生命科学専攻博士課程単位中途退学。宗教哲学・民俗学・比較文明学・ケア学専攻。博士(文学・筑波大学)。京都大学名誉教授。天理大学客員教授。石笛・横笛・法螺貝奏者。フリーランス神主・神道ソングライター・吟遊詩人。著作に『神界のフィールドワーク』『翁童論』四部作、『宗教と霊性』『呪殺・魔境論』『神と仏の出逢う国』『現代神道論』『世直しの思想』『世阿弥』『言霊の思想』、サードアルバム『絶体絶命』など。

島薗進 Shimazono Susumu

宗教学者/東京大学名誉教授、NPO法人東京自由大学学長、大正大学客員教授。1948年生。東京大学大学院博士課程・単位取得退学。東京大学大学院人文社会系研究科・教授、上智大学大学院実践宗教学研究科・教授、上智大学グリーフケア研究所所長を経て、東京大学名誉教授、NPO法人東京自由大学学長、上智大学グリーフケア研究所・客員所員、大正大学・客員教授。専門は近代日本宗教史、宗教理論、死生学、生命倫理。著書:『宗教学の名誉30』(ちくま新書、2008年)『国家神道と日本人』(岩波書店、2010年)、『日本人の死生観を読む』(朝日新聞出版、2012年)、『ともに悲嘆を生きる』(朝日新聞出版、2019年)など。


概要

再生時間  2時間40分

価格    2,500円(税込)