特別講座

 

AI(ヒューマノイド)はいのちを代替できるか?

―「箱の中の羊」と死者のいのちを考える―

是枝裕和×西村明×島薗進

 

AI(ヒューマノイド)はいのちを代替できるか?

――「箱の中の羊」と死者のいのちを考える――

 

「できるなら死者とまた会いたい」、こう望む人は少なくない。ところが、今や生きている人をAIで再現することが行われるようになっている。それなら、遺族の希望によって死者をAIで再現し、悲しみにくれる人々をケアすることができるのではないか。

 

東日本大震災の後には「夢でもいいからまた会いたい」という方々のお話を聞き取った書物も刊行された。2人の子どもが20歳代前半で自死し、夫とも別れた女性が、窓近くにやってくる鳥の声に子どもたちの声を聞いたと感じることもある。

 

AIで再現された死者と、遺された者が話すことができれば、大きな慰めになるのではないか。実際、すでに中国ではそのようなビジネスが成立しているという。死んだ子どもがAIで再現され、しかも人と紛うようなロボットの姿で現れることもできるかもしれない。

 

死者がヒューマノイドとして業者から送られてくる。近未来のそんなグリーフケア・ビジネスに依頼し、7歳で死んだ子どもを再現してもらい、一緒に暮らし始める夫婦は何を経験するのか。是枝裕和監督の「箱の中の羊」はそんな作品だ。この作品が問いかけていることの一つは、「AI(ヒューマノイド)はいのちを代替できるか?」という問いだ。そこからさらに「死者のいのちとは何か」という問いも生まれてくる。

 

作品ではさらに建築に関わり、自然と人工物の関係についても深い問いかけがなされている。「箱の中の羊」という題は、サン=テクジュベリの『星の皇子さま』から借りて来られている。この作品と『星の皇子さま』はどう関わっているのか。

 

この集いでは、是枝監督を囲み、宗教学や死生学を学んできた西村明と島薗進が、映画作品「箱の中の羊」の魅力や迫力について語り合いながら、「死といのち」について、「人間性とモノの交わり」について、また「テクノロジーと自然」についてもともに考えていきたい。(筆:島薗進)


是枝裕和 Koreeda Hirokazu

1962年、東京生まれ。

早稲田大学卒業後、テレビマンユニオンに参加、主にドキュメンタリー番組の演出を手掛ける。

1995年『幻の光』で映画監督デビュー。

2014年に独立し、制作者集団「分福」を立ち上げる。

『万引き家族』(2018年)が第71回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞、第91回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた。

『怪物』(2023年)は、第76回カンヌ国際映画祭にて脚本賞、クィア・パルム賞を受賞した。

2026年には『箱の中の羊』が5/29より全国公開のほか、『ルックバック』の公開が控えている。

5/29以降であれば(『箱の中の羊』が現在全国公開中、2026年は『ルックバック』の公開も控えている。)

Nishimura Akira

専攻は宗教学、文化資源学。1973年長崎県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。博士論文にて長崎の原爆慰霊を日本の慰霊史に位置づけ、『戦後日本と戦争死者慰霊—シズメとフルイのダイナミズム』(有志舎)として刊行した(第3回(財)国際宗教研究所賞受賞)。その後は、遺骨収集や戦地慰霊などを中心に研究を続けている。主な共編著に『いま宗教に向きあう』(岩波書店)、『近代日本宗教史』(春秋社)、『シリーズ戦争と社会』(岩波書店)などがある。

島薗進 Shimazono Susumu

宗教学者/東京大学名誉教授、NPO法人東京自由大学学長、大正大学客員教授。1948年生。東京大学大学院博士課程・単位取得退学。東京大学大学院人文社会系研究科・教授、上智大学大学院実践宗教学研究科・教授、上智大学グリーフケア研究所所長を経て、東京大学名誉教授、NPO法人東京自由大学学長、上智大学グリーフケア研究所・客員所員、大正大学・客員教授。専門は近代日本宗教史、宗教理論、死生学、生命倫理。著書:『宗教学の名誉30』(ちくま新書、2008年)『国家神道と日本人』(岩波書店、2010年)、『日本人の死生観を読む』(朝日新聞出版、2012年)、『ともに悲嘆を生きる』(朝日新聞出版、2019年)など。


概要

日程  2026年6月27日(土)

時間  14:30~17:00
受講料 一般:3000円
     会員:2500円
     学生:2000円
     学生会員:1500円

会場  東京大学本郷キャンパス国際学術総合研究棟3番大教室


お申し込み

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