宗教ってなに? Ⅳ
第1回:「空海の秘法と曼荼羅世界」
正木晃
マンダラの意味や目的については、空海の言葉がもっとも端的に語っていますので、ご紹介します。「密蔵は深玄にして翰墨に載せ難し。更に図像を仮りて悟らざるに開示す(密教の教えは深く神秘的なために、文字では伝えがたい。そこで図像をもちいて、理解できない人の眼を開くのです)」『請来目録』
もともと仏教には、開祖のブッダ以来、究極の真理は、言葉やその言葉を表記した文字では伝えられないという原則があります。密教の場合は、最高の真理を伝えるのに、言葉では×でも、シンボルをはじめ、図像なら○という発想なので、空海の主張が十分に成り立つのです。
密教はインド仏教の最終走者だけあって、その教義はひじょうに緻密というか複雑というか、とにかく理解するには尋常ではない能力や努力が欠かせなくなってしまいました。そこで、マンダラというアイテムを創造して、ほとんど無時間的に教義を体得させるという方法を採用したともいえます。文字を目で追っていくのは、時間がかかります。理解するには、さらに時間が必要です。でも、図像であれば、一瞬でこと足ります。このメリットはとても大きかったのです。
正木 晃 Masaki Akira
1953年、神奈川県生まれ。筑波大学大学院博士課程修了。国際日本文化センター客員助教授等をへて、現在、慶應義塾大学非常勤講師。専門は宗教学、とくに日本密教・チベット密教における修行ならびに図像の研究。著書に『密教』・『性と呪殺の密教』(ちくま学芸文庫)、『現代の修験道』(中央公論新社)、『現代日本語訳 空海の秘蔵宝鑰』・『現代日本語訳 法華経』(春秋社)、『空海と密教美術』・『現代語訳 理趣経』(角川書店)、『マンダラとは何か』(NHKブックス)、『カラーリング・マンダラ』(春秋社)、『宗教はなぜ人を殺すのか』(さくら舎)、訳書にフィンチャー『マンダラ塗り絵』(春秋社)などがある。
概要
日程 9月21日(土)
時間 14:00~16:30
受講料 一般:2500円
会員:2000円
学生:1000円
学生会員:500円
当日会場にてお支払をお願いします。
定員 50名
会場 自由が丘コンテンツ・ラボ MAP
※終了しました。
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