異界の声、常世の歌
第3回:「哭きうたの民俗誌〜奄美、沖縄、珍島の葬送歌」
酒井正子×島薗進
琉球弧では亡き人への思いや別離の悲しみを即興の歌に託し、死者をあの世へと送る「哭きうた」の習慣が残っています。酒井正子先生は長期間にわたり、南西諸島で哭きうたをはじめとする様々なシマウタや民俗芸能の世界をフィールドワークしてきました。今回は貴重な音源や映像記録を交えつつ、琉球弧の葬送歌について伺います。そして、グリーフケアの視点から近代日本人と「うた」の関係を研究している島薗進先生との対談を通し、時を超えて死者とつながる祈りのあり方を探ります。
共催:奄美シマウタ研究会
酒井正子 Sakai Masako
音楽文化研究者、奄美シマウタ研究会主宰、川村学園女子大学名誉教授。1947年札幌市生まれ。1972年東京大学教養学部文化人類学分科卒業。97年「奄美歌掛けのディアローグ -あそび・ウワサ・死」で國學院大學民俗学博士。一橋大学社会学部助手、湘南国際女子短期大学教授、川村学園女子大学教授を歴任。琉球弧(奄美沖縄地域)の音楽文化(とくに歌謡の生成と伝承)専攻。1983年より、東京芸術大学民族音楽ゼミナールの共同研究員として、奄美沖縄の調査に参加。90年代より沖縄、八重山にも出向き、葬送歌の掘り起こしに力を注ぐ。1994、97年田辺尚雄賞を2度受賞。
島薗進 Shimazono Susumu
宗教学者。1948年、東京生まれ。1977年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京大学文学部宗教学宗教史学科教授、同大学院人文社会系研究科教授を経て、現在、上智大学大学院実践宗教学研究科研究科長・特任教授、同グリーフケア研究所所長、同モニュメンタニポニカ所長。著書に『現代救済宗教論』『〈癒す知〉の系譜:科学と宗教のはざま』『スピリチュアリティの興隆:新霊性文化とその周辺』『国家神道と日本人』『日本仏教の社会倫理』『宗教学の名著30』『日本人の死生観を読む』『つくられた放射線「安全」論』『精神世界のゆくえ』『いのちを“つくって”もいいですか』など。
概要
※本講座は終了しました。