島薗進ゼミ

 

思想家としての折口信夫――宗教・文学・学問を通して求めたもの(全3回)

 

折口信夫は宗教を求め文学を実践するとともに学者でもあった。だが、宗教を論じ、独自の文学的境地を切り開き、新たな学問的地平を開拓しつつ、それらを通してある思想的地平を求めていた――そのように捉えてみたい。前年度に「折口信夫の宗教思想――新たな地平を求めて」と題して、私なりの折口信夫論のおおよその輪郭を描いてみたが、今年度はさらにそこに肉づけをし、「思想家としての折口信夫」の像を結んでいきたい。宗教者、文学者、人文学者のいずれの枠にもうまくはまらなかった折口の歴史上の独自の位置をとりあえず「思想家thinker」として考えていくことにしたい。この間に積み上げられてきた折口研究の成果に学びつつ、まだ見えていない折口信夫の像を浮かび上がらせていきたい。

 

第1回 神道思想家としての折口信夫

折口信夫(1887−1953)は生涯に何度か、神道思想家としての表出を行なっている。学生時代、1920年代、そして晩年である。若い時にメレジュコフスキーや岩野鳳鳴の著作に大いに共鳴したことを自ら表明しているが、学者や詩人・文学者でありつつも、宗教思想に究極のものを求めていたことが察せられる。スサノオへのごだわり、悲劇的な神話伝承への注目、「天皇霊」への注目、「心意伝承」にこそ民俗学の本来的課題を見たこと、「道徳の発生」への問い、「既存者」への言及などはそのことをよく示すものだ。こうした折口の探求を通して、折口の宗教思想、神道思想の中核へと迫っていきたい。

第2回 宗教学者としての折口信夫

折口信夫は古代の宗教の原型を探り、その理解をてことして現代の神道を蘇らせるといった構想をもっていた。これは柳田國男の民俗学にインスピレーションを得て、民俗学から古代的な宗教性を読み取ることを通して近づいていける目標とも考えられた。しかし、「一国民俗学」に傾きがちな日本の民俗学の動向に対して、折口は宗教学や文化人類学(民族学)からも多くを学ぼうとした。これはジェイムズ・フレイザーの原始宗教論に学んだり、トーテミズムという言葉を度々用いていることからも理解できるところだ。しかし、大正末期から昭和初期にかけての時期、折口は「民族論理」論へと傾斜していく。日本に特有の古代宗教のあり方を際立たせるという方向だ。「大嘗祭の本義」はその中から生み出されたものだ。中期の折口が宗教学・民族学を活用しながら探求しようとした「民族論理」論とその限界について考えていきたい。

第3回 思想詩人としての折口信夫


島薗進 Shimazono Susumu

宗教学者/東京大学名誉教授、NPO法人東京自由大学学長、大正大学客員教授。1948年生。東京大学大学院博士課程・単位取得退学。東京大学大学院人文社会系研究科・教授、上智大学大学院実践宗教学研究科・教授、上智大学グリーフケア研究所所長を経て、東京大学名誉教授、NPO法人東京自由大学学長、上智大学グリーフケア研究所・客員所員、大正大学・客員教授。専門は近代日本宗教史、宗教理論、死生学、生命倫理。著書:『宗教学の名誉30』(ちくま新書、2008年)『国家神道と日本人』(岩波書店、2010年)、『日本人の死生観を読む』(朝日新聞出版、2012年)、『ともに悲嘆を生きる』(朝日新聞出版、2019年)など。


概要

日程  第1回:2023年1月14日(土)

    第2回:2023年2月11日(土)

    第3回:2023年34日(土)

時間  14:00~16:00

【オンライン参加(見逃し配信あり)】
受講料(各回)

    一般:2000円

    会員:1500円

    学生:1000円

    学生会員:500円
(見逃し配信はオンライン参加のお申し込みをされた方全員に対し、講座終了後から数日内に、YouTubeの限定公開のリンクをお送りいたします)


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