【宗教を考える学校】 2024年度
第1回「彼岸と此岸を越える~移動舞台車の芸能と宗教」
やなぎみわ×鎌田東二×島薗進
美術作家、舞台演出家として国際的に活躍するやなぎみわさん。芸能・芸術・宗教のあわいで鮮烈な表現を手掛けてこられました。今回は移動舞台車の作品を中心に、震災やケアについて近年思われることも含めて語っていただきます。鼎談ではやなぎさんの創作を「宗教」の視点から捉え直し、彼岸と此岸を超える創造性の謎に迫ります。
【やなぎみわさんより】
現代美術の領域で活動しながら、14年ほど前に舞台公演を始め、やがて野外劇を巡業するに至った。現代美術と野外劇は、個と非個人、批評と許容、定着と流動・・あらゆる面で水と油であり、対極の表現を往還したからこそ、見えてきたものは多い。巡業途中で、故郷の兵庫津で一遍上人に出会い直し、芸能、興行、宗教、そして「諸国一見の旅僧」がワキとして登場する能楽について考えるようになった。生死の彼岸と此岸を越えて、語る者と、それを傾聴する者は、すべての物語の原初でもあり、芸能へつながる出発点であるように感じている。
私が所有している舞台トレーラーは、戒厳令下の台湾で発展した移動舞台であり、遊行の踊り屋台でもある。
9年前に北野天満宮にて鎌田東二先生が車上で歌われたことは印象深い。
Yanagi Miwa
美術作家、舞台演出家。神戸市生まれ。1991年、京都市立芸術大学工芸科修了。1993年にエレベーターガールをテーマにした作品で京都にて初個展。その後、主に写真作品で国内外にて多くの展覧会を開催し、2009年第53回「ヴェネツィア・ビエンナーレ」美術展日本館代表作家となる。
2011年より演劇活動を開始し、近代美術の黎明期をテーマにした「1924」三部作、「パノラマ」(原案:萩原朔太郎)を、美術館や劇場で上演。2015年に作演出した「ゼロ・アワー 東京ローズ最後のテープ」で北米ツアー。
2016年より台湾で製造した舞台トレーラーによる野外巡礼劇「日輪の翼」(原案:中上健次)で各地を巡業している。2021年末、台湾独自のオペラである歌仔戯「アフロディーテ〜阿婆蘭〜」を作演出。台湾文化局の主催により、高雄市の国立野外劇場にて上演された。
美術制作と舞台の両分野に取り組み、時衆の研究やプロジェクトも展開している。
鎌田東二 Kamata Toji
宗教哲学・民俗学/京都大学名誉教授、天理大学客員教授。
1951年徳島県阿南市桑野町生まれ。國學院大學文学部哲学科卒業。同大学大学院博士課程単位取得中途退学。岡山大学大学院医歯学総合研究科社会環境生命科学専攻博士課程単位中途退学。宗教哲学・民俗学・比較文明学・ケア学専攻。博士(文学・筑波大学)。京都大学名誉教授。天理大学客員教授。石笛・横笛・法螺貝奏者。フリーランス神主・神道ソングライター・吟遊詩人。著作に『神界のフィールドワーク』『翁童論』四部作、『宗教と霊性』『呪殺・魔境論』『神と仏の出逢う国』『現代神道論』『世直しの思想』『世阿弥』『言霊の思想』、サードアルバム『絶体絶命』など。
島薗進 Shimazono Susumu
宗教学者/東京大学名誉教授、NPO法人東京自由大学学長、大正大学客員教授。1948年生。東京大学大学院博士課程・単位取得退学。東京大学大学院人文社会系研究科・教授、上智大学大学院実践宗教学研究科・教授、上智大学グリーフケア研究所所長を経て、東京大学名誉教授、NPO法人東京自由大学学長、上智大学グリーフケア研究所・客員所員、大正大学・客員教授。専門は近代日本宗教史、宗教理論、死生学、生命倫理。著書:『宗教学の名誉30』(ちくま新書、2008年)『国家神道と日本人』(岩波書店、2010年)、『日本人の死生観を読む』(朝日新聞出版、2012年)、『ともに悲嘆を生きる』(朝日新聞出版、2019年)など。
概要
日程 2024年4月18日(木)
時間 19:00~21:30
オンライン配信
受講料 一般:2500円
会員:2000円
学生:1500円
会員学生:1000円
※この講座は終了しました
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