NPO法人東京自由大学主催戦後80年シンポジウム

戦争とメディアと宗教
永田浩三×森達也×斉加尚代 
コメンテーター:西村明 司会:島薗進

2025年はアジア太平洋戦争後80年の年である。アジア太平洋戦争は310万人ともされる日本人と、それを何倍も上回るアジア太平洋地域の人々の犠牲をもたらした末に終結した。攻撃的な植民地支配と対外侵略に対して、日本国民はほとんど抵抗することもできず、むしろそれを歓迎し加担することになった。そのことに関わってメディアと宗教が果たした役割は小さいものではない。いったいなぜそのような方向へと向かってしまったのか。戦後はこのような戦前、戦中の政治だけでなく、メディアや宗教・精神文化・教育のあり方、また社会のあり方を批判的に捉え返すことも課題として意識されてきた。しかし、そのような方向性が保持され、受け継がれてきたと言えるだろうか。むしろ、時が経過するとともに獲得されてきたはずの報道の自由も後退し、良心の自由も脅かされる傾向が強まっているのではないか。デジタル化が進み、SNSが広まる時代には、さらに真実を歪める新たな要因が加わっているかのようだ。このシンポジウムでは、こうした問題について取り組んで来られた方々のお話をうかがいながらともに過去を省み、現在の課題を考えていきたい。

 

14:00~14:05(5分間)オープニング(島薗進)

14:05~14:25(20分間)講演1(斉加尚代)

14:25~14:45(20分間)講演2(森達也)

14:45~15:05(20分間)講演3(永田浩三)

15:05~15:20(15分間)コメント(西村明)

15:20~15:30(10分間)休憩

15:30~16:30(60分間)討論(斉加×森×永田×西村×島薗)

16:30~16:55(25分間)質疑応答

16:55~17:00(5分間)クロージング(島薗進)

 

※対面のみ(ライブ配信・見逃し配信はございません)

※キャンセルは、講座3日前の7月24日(木)14:00まで受け付けます。それ以降のキャンセルはお受けできませんので、ご了承のほどよろしくお願いいたします。


永田 浩三 Nagata Kozo

1954年大阪生まれ。東北大学卒。1977年NHK入局後、NHKスペシャル、クローズアップ現代など、ドキュメンタリー、情報・教養番組を制作、菊池寛賞を共同受賞。2009年に武蔵大学教授となり、学生や地域の人々とともに多くのドキュメンタリー番組をつくる。現在は名誉教授。映画『命かじり・森口豁 沖縄と生きる』『闇に消されてなるものか・写真家 樋口健二の世界』などの監督。著書に「原爆と俳句」『ヒロシマを伝える』『NHKと政治権力』など多数。高木仁三郎市民科学基金理事、ノーモアヒバクシャ記憶遺産理事。江古田映画祭代表。


森 達也 Mori Tatsuya

映画監督・作家。1998年に後悔したドキュメンタリー映画『A』はベルリン国際映画祭に正式招待される。2001年にはその続編『A2』が山形国際ドキュメンタリー映画祭で審査員特別賞・市民賞を受賞。2023年に発表した初の劇映画『福田村事件』は第47回日本アカデミー賞で監督賞を受賞した。著書に、第33回講談社ノンフィクション賞を受賞した『A3』(集英社文庫)、『放送禁止歌』(智恵の森文庫)『死刑』『いのちの食べ方」(いずれも角川文庫)『集団に流されず個人として生きるには』(ちくまプリマーブックス)ほか多数。


斉加 尚代 Saika Hisayo

兵庫県宝塚市出身。早稲田大学卒業後、1987年在阪の毎日放送入社。報道記者などを経て2015年からドキュメンタリー番組担当ディレクター。『沖縄 さまよう木霊』『バッシング』『記者たち』ほか20本以上を制作。初監督した映画『教育と愛国』(2022年)は全国62館で公開され、JCJ大賞など受賞。海外はフランス、クロアチア、アルゼンチンなどで上映。個人として「放送ウーマン賞2018」を受賞。著書に『教育と愛国』(岩波書店)『何が記者を殺すのか』(集英社)など。2025年に定年退社、現在フリーで活動。


西村 明 Nishimura Akira

専攻は宗教学、文化資源学。1973年長崎県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。博士論文にて長崎の原爆慰霊を日本の慰霊史に位置づけ、『戦後日本と戦争死者慰霊—シズメとフルイのダイナミズム』(有志舎)として刊行した(第3回(財)国際宗教研究所賞受賞)。その後は、遺骨収集や戦地慰霊などを中心に研究を続けている。主な共編著に『いま宗教に向きあう』(岩波書店)、『近代日本宗教史』(春秋社)、『シリーズ戦争と社会』(岩波書店)などがある。


島薗進 Shimazono Susumu

宗教学者、東京大学名誉教授、NPO法人東京自由大学学長、大正大学客員教授。1948年生。東京大学大学院博士課程・単位取得退学。東京大学大学院人文社会系研究科・教授、上智大学大学院実践宗教学研究科・教授、上智大学グリーフケア研究所所長を経て、東京大学名誉教授、NPO法人東京自由大学学長、上智大学グリーフケア研究所・客員所員、大正大学・客員教授。専門は近代日本宗教史、宗教理論、死生学、生命倫理。著書:『宗教学の名誉30』(ちくま新書、2008年)『国家神道と日本人』(岩波書店、2010年)、『日本人の死生観を読む』(朝日新聞出版、2012年)、『ともに悲嘆を生きる』(朝日新聞出版、2019年)など。


概要

日程  2025年7月27日(日)

時間  14:00~17:00

受講料 一般:3000円

      会員:2500円

    学生:2000円

    学生会員:1500円
会場  
東京大学本郷キャンパス国際学術総合研究棟3番大教室


お申し込み

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