戦後日本と国家神道 Ⅰ

 

第1回:「国家神道と物語論」

江藤祥平

コメンテーター:松平徳仁 

司会:島薗進

近代国家が存立する上で必要なものを一つ挙げよと言われれば、それは間違いなく憲法である。
国家は、国土・国民・国権の三要素から成るが、この三要素を成立させているのも憲法である。したがって、明治政府が開国してまもなく取り組んだのが、まず憲法の起草であったということには頷ける。しかし、憲法起草者の伊藤博文は、同時に天皇に国家存在の根拠を求めた。この点、君主制と憲法が結びつくことは珍しくはないが、伊藤の構想は、天皇の存在根拠を万世一系の「神話」に求めた点で、近代憲法の範疇を超えていた。結局、それが仇となって神の国日本は砕け散り、戦後日本は憲法のみを権威の源泉とすることで再スタートを切った。しかし、神話そのものが消滅したわけではない。人間は物語る存在である以上、神話を消し去ることは憲法にもできない。その中で、戦後日本はいかにして憲法秩序を実現してきたのか。物語のない国家は可能か。
第1回は、気鋭の憲法学者、江藤祥平先生を迎えて、国家と物語の関係を問う。

共催:株式会社トイビト


江藤祥平 Eto Shohei

憲法学者。1981年生まれ。東京大学法学研究科法曹養成専攻課程修了、コロンビア大学ロースクール修士課程修了。東京大学法学研究科助教・特別講師、上智大学法学部准教授を経て、現在、一橋大学法学研究科准教授・シドニー大学客員研究員。著書に『近代立憲主義と他者』、共著に『大学生活と法学』、『戦後憲法学の群像』、『憲法学の現在地』、『総点検 日本国憲法の70年』など。最近は出張講義を通じて法教育にも熱心に取り組む。

松平徳仁 Matsudaira Tokujin

1969年生まれ。憲法学・比較憲法学専攻。

東京大学法学部第2類卒業。ワシントン大学ロースクール修了(法学修士)、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学。現在、神奈川大学法学部教授。著書に『東アジア立憲民主主義とそのパラドックス』(羽鳥書店、2021年)。

島薗進 Shimazono Susumu

宗教学者/東京大学名誉教授、NPO法人東京自由大学学長、大正大学客員教授。1948年生。東京大学大学院博士課程・単位取得退学。東京大学大学院人文社会系研究科・教授、上智大学大学院実践宗教学研究科・教授、上智大学グリーフケア研究所所長を経て、東京大学名誉教授、NPO法人東京自由大学学長、上智大学グリーフケア研究所・客員所員、大正大学・客員教授。専門は近代日本宗教史、宗教理論、死生学、生命倫理。著書:『宗教学の名誉30』(ちくま新書、2008年)『国家神道と日本人』(岩波書店、2010年)、『日本人の死生観を読む』(朝日新聞出版、2012年)、『ともに悲嘆を生きる』(朝日新聞出版、2019年)など。


概要

日程  2022年10月15日(土)

時間  14:00~16:20

受講料 【オンライン(見逃し配信あり)】
    一般:2500円

      会員:2000円

    学生:1500円

    会員学生:1000円
※見逃し配信はオンライン参加のお申し込みをされた方全員に対し、講座終了後から数日内に、YouTubeの限定公開のリンクをお送りいたします


お申し込み
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