信じること、生きること〜人間の弱さを見つめて

 

第1回:「本当に豊かになるために〜積極的感受という生き方

ドリアン助川

 

 ハンセン病の快復者の人生を描いた小説『あん』が、民族と宗教を越えて読者を増やしています。映画化された作品も世界五十カ国以上で上映されました。物語の背景はハンセン病とそれを取り巻く差別ですが、描きたかったテーマは生きることの普遍的な意味です。

 生産と前進こそ文明の本質だと定義されれば、人生は能動的であらねばならないと見なされるでしょう。しかし私はそこに、現代人の陥りやすい虚無と闇を見ます。私たちは産業やそれを基盤とする社会の歯車として生まれてきたわけではない。人間としてこの世に生を受けたのです。命が、人間を生きているのです。では、人間とは何か? 人間を生きるとはどういうことなのか?

 ひとつの考え方として提唱したいのが、「積極的感受」という生き方です。大金を貯蓄しなくても、名誉を抱かずとも、人間としてすべてを感受することは、この星に生を受けたものの醍醐味であると思っています。それは自己の徹底的な弱さや、なにげない草木を見つめるところから始まります。

 なぜ『あん』を書こうと思ったのか。この作品の世界での広がり方、ハンセン病問題の現実などを写真資料で紹介するとともに、「積極的感受」の論理と方法について講演いたします。

 


ドリアン助川 Durian Sukegawa

1962年東京生まれの神戸育ち。作家・朗読家。早稲田大学第一文学部東洋哲学科卒。放送作家を経て、1990年バンド「叫ぶ詩人の会」を結成。ラジオ深夜放送のパーソナリティとしても活躍。若者たちの苦悩を受け止め、放送文化基金賞を得る。同バンド解散後、2000年からニューヨークに3年間滞在し、日米混成バンドでライブを繰り広げる。帰国後は明川哲也の第二筆名も交え、本格的に執筆を開始。著書多数。小説『あん』は河瀬直美監督により映画化され、2015年カンヌ国際映画祭のオープニングフィルムとなる。また小説そのものもフランス、イギリス、ドイツ、イタリア、レバノン、ポーランドなど11言語に翻訳されている。2017年、小説『あん』がフランスの「DOMITYS文学賞」と「読者による文庫本大賞(Le Prix des Lecteurs du Livre du Poche)」の二冠を得る。長野パラリンピック大会歌『旅立ちの時』作詞者。


概要

日程  5月26日(土)

時間  14:00~16:30

受講料 一般:2500円

    会員:2000円

    学生:1000円

    学生会員:500円

会場  あおぞら銀行オアシスルーム MAP

    *あおぞら銀行で開催する講座のみ、

     事前振込が必要です。

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      ください。


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